ごあいさつ

はじめまして

幼稚園に入園したときから、毎月3冊の絵本が手元に届くようになりました。卒園後は、そのうちの1冊を、近くの書店の取り寄せで購読し続けてくれました。今、考えると、そんなことをずっと続けてくれた両親、特に母に感謝しないといけないなと、つくづく思います。

高校生に上がってから、この絵本の購読は、自分のお小遣いの中から、自分の意思で続けることになりました。購読を止めるきっかけにもなったかもしれない可能性を秘めていたと思います。でも、なぜか買い続け、長期で日本を留守にしていた時期も、母が代わりに書店に取りに行ってくれていました。そして、この絵本の購読は、今も続いています。以前は本当に、注文しておかないと買い求められない絵本でしたが、今は、大型書店であれば、また、最寄の書店でも、最新版であれば棚に並ぶ絵本となりました。〔必ずしもあるわけではないですが。〕そんな絵本は、引越しのたびに箱に詰められ、要注意な重たい箱として運ばれ、常に本棚の一角を占めています。しかも、増殖しながら。

このところ、おとなになった分、絵本の楽しみ方が素直でなくなっているように感じています。人生経験を積んだ分、作者が作品中に散りばめた仕掛けや秘密に気づくようになっているようにも思います。
子どもの頃、大好きだった作品は、今でも大好きですし、怖いなあと思ったものは、やっぱりどこか怖さを感じ、嬉々として手にとることはないようです。

自分の絵本読書歴の記録作りも兼ねて、絵本再読の記録を綴ってまいりたいと思います。

どこかで、ささやかでも面白い出会いと、楽しい繋がりが生まれることを期待して。


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花ちゃんとクマの菜葉




絵本の号数(発行)順 一覧

発行順索引。

月間予約絵本「こどものとも」は、月に一冊発行なので、少しだけ季節感先取りの絵本が出ます。夏がテーマの絵本が真冬に出ることはないし、11月発行の12月号にあたるときは、「クリスマス」というタイトルが並ぶことが多いかも。

どんな時代にこの絵本が、出たのか、こんな時代だからこんな絵本が出たのか、なんて考えるのも面白いです。

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作家別一覧

作家別索引です。
絵を担当した方と文を担当した方と、そのカテゴリーは混在しております。

全作品の作家さんを対象とするのが本来の姿だとは思いますが、私の好みを表せるところを作りたくて、この索引は、特に好きな作品の作家さん限定の索引となっています。

好きな作品は、初見したときから好き。つまり、あまり好みは変わっていません。成長がないということなのかもしれません…

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しんりんてつどう

しんりんてつどう 
みねむらかつこ さく・え 
256号 1977.7.1.

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山と街とをつなぐ森林鉄道は、一日にいったい何往復するのだろう。人を運び、物を運ぶ。急こう配の山道も難なく行ったり来たりする鉄道。鉛筆描きの柔らかい筆致。濃淡ですべてを表現するという術は、物を観察することが苦手だった子どもの頃にはなかなか気が付かなかったことだ。漫画ほどの大げさな吹出や強調表現を使わなくても、鉛筆が描く流れで機関車が速度を上げていることまでわかってしまうのだ。物語は、文字でも表現されているので、話の流れは読んでいるのだが、テキスト無しだと文字で表現されていることよりももっとたくさんの物語を楽しむことができるのだ。
この森林鉄道、山で切り出した材木を街へ運ぶという任務もあるのだが、我々を悩ましている杉山を思うと、この頃に、次世代につながる山の保全の大切さに気づき、その方向へかじを切っていれば、日本の森林産業は違ったものになっていたはず、と社会派的なことも考えてしまった再読である。
posted by 花ちゃんとクマの菜葉 at 09:37Comment(0)200号台

かばくん

かばくん 
岸田衿子 作・中谷千代子 画 
1962.9.1./1975.7.1.

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のっしのっしと動くぞう、優雅に長い首を揺らしながら歩くキリン、じゃれあう子ザルとどっしり構えた親ザルの関係が楽しいサル山など、動物園という場所が楽しい場所だと感じていた年代に出会った絵本だ。
動物園の展示形態が見直され、生息地で生きる様子に近い状態を再現する努力が各地の動物園で急速に進み、もうつまんないよ、見世物じゃないんだから、という動物たちのふてくされた姿から打って変わって活き活きとした姿を間近で観る楽しさが増強されている今なら、描かれ方も変わっている可能性がある「かばくん」親子。この絵本の初版が出た1960年代中盤は、野生動物の様子を紹介するようなテレビ番組など動画は少なかった時代、本で文章や写真でしか知ることができなかった数多くの生き物たちを動物園という場所で、実際に目にすることができたのは、貴重な体験に他ならない。図鑑から飛び出た動物を観る事ができるということに感動していた時代の絵本だ。
posted by 花ちゃんとクマの菜葉 at 17:22Comment(0)番外編

はるにれ

はるにれ
姉崎一馬 写真
1979年1月1日発行
274号

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一本のはるにれの木を、さまざまな季節と時間帯で撮影されたものが一冊の絵本に。はるか遠くには、ぽつぽつと木々があり、山の連なりや人工物も捉えられているので、人里は意外と近く、大自然の奥深くにある木ではないということがわかる。けれど、林になったり森になったりすることなく、牧草地帯や農地にもならず、ぽつんと一本だけ、のびのびと大きく育つことができたことがちょっと不思議に感じるのだ。
絵本の始まりは秋。寒さに凍える冬の季節の画像が多め。定点撮影ではなく、季節によって、撮影時間帯によって、カメラマンの視点は、変化。しかも、はるにれ君の捉え方も、望遠がかかっていたり、遠景までしっかりと捉えていたりとばらばら。草がもりもり育つ季節には、足元が隠れちょっと短足に見え、真冬になると、寒々と足元まで丸見え。枝まで寒さで凍っている。霧に包まれて、そばに誰もいないような日もあれば、お月さまを支えているようなときも。
posted by 花ちゃんとクマの菜葉 at 21:58Comment(0)200号台

うみべのいちにち

うみべのいちにち 
笠野裕一 さく 
316号
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定点観測絵本である。
しかも、その定点が、普通の人では眺めることが出来ない海側から海岸方向を向いているという位置での観測になっている。ドローンが活躍するようになった今なら、ドローンを飛ばしてずっと観測しました、となるところだが、この定点観測はどんな風に実現したのかと想像するのもまた楽しい。ボートに乗って眺めて、空想を膨らませたのか、気球を上げてそこにカメラを取り付けていたのかな、と。
早朝、近所の人がお散歩をする時間帯から、暑い日中を通過して、夕方までの様子が克明に描かれている。文章付きの絵本と違い、描きこまれている物事に起こった出来事を追うと、物語が際限なくできるので、最後までたどり着くのに果てしなく時間がかかる絵本だ。ページごとに時間帯が示されているわけではないのだが、貸し浮き輪、貸しゴムボートのお店の混雑具合、仮設シャワーと海の家の様子から、おおよその時間帯を予想するという楽しみもある。
posted by 花ちゃんとクマの菜葉 at 15:49Comment(0)300号台

もりのえほん

もりのえほん
安野光雅 え
1977.10.1.
259号

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森の絵に隠されている生きも探しは未だに完了していない、という難解極まりない絵本だ。森の様子が描かれている絵本ですよ、と紹介されれば、どんな樹木があるのだろうとか、どんな動物が(普通に)潜んでいるのだろう、という視点で楽しむことになりそうだが、そんな目線で絵を見ると、少し不自然に感じてしまう。というのも、木の幹に不必要にたくさん蔦植物が絡まっていたり、妙なところで曲がっていたり、不釣り合いなこぶができていたりするのだ。おおよそそんなところには、生きものが潜んでいるのだが。
もちろん、気分を変えて、時には絵本の向きを変えてみた方がわかりやすかったりもする。
森に隠れている生きものたちの回答は、折り込みふろくに記されていて、今までは、確認することもなく、ただ、漠然と眺めていたのだが、今回は、もう少し真面目に探してみようと回答を横に置いて再挑戦。意外なことに人の顔とか九州の地図なども入っているという。
posted by 花ちゃんとクマの菜葉 at 22:49Comment(0)200号台

ぐりとぐらのかいすいよく

ぐりとぐらのかいすいよく
なかがわりえこ さく
やまわきゆりこ え
245号


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夏、そして、海をキーワードに好きな絵本を選ぶと、この作品がすぐに思い浮かぶ。
こんな出会いがあるといいな、と憧れたものに、ビンに入ったお手紙を海辺で拾って、それがきっかけで人とつながること。今の時代、ビンにお手紙を入れて流すなんて、「海の環境を汚す」ことだと、正義を振りかざしそうなモンスターな人たちもいるのだろうけれど、通信手段の一つとして(果てしなく不確かな通信手段ではあるけれど)憧れるものだ。
子どもの頃の憧れは、「うみぼうず」君が披露してくれた、迫力もあって、楽しそうな七変化の泳ぎにもあった。それに輪をかけて羨ましかったのが、ぐりとぐらが、すぐにできるようになったこと。けれども、自分でも真似をしようと悪戦苦闘したかどうかは、記憶にはない。
再読して思い込みだったことに気がついたのが、灯台の灯り。月の光や船の灯りに反射するのは、磨いたガラス球だと思っていたのだが、なんと、その正体は、真珠球。