ぴかくん めをまわす

ぴかくん めをまわす

さく 松居 直
え 長 新太
1966年3月1日発行
1975年10月1日第三刷発行

E19B0252-666B-4B66-9B0B-13DA20900D0B.jpg


あ、長新太さんの絵だ、と後々確認するようになったきっかけとなった絵本だ。

子どもの頃は「ぴかくん」って大変なんだな、本当にこんなことになったらどうなるんだろう、程度の感想しかなかったのに、今回の読み直しでは、気になるところがてんこ盛り。
この当時、信号の切り替えは、完全手動だったのか、とか、バスの中の人々の様子から、いつ頃から手に持つものは、新聞、雑誌じゃなくて、携帯、スマホだらけになったのだろうとか、トラックや荷物を運ぶ車はボンネット型だぞ、など。こうして気になるところを挙げると、絵を見て思ったことばかり、と言うのは流石絵本と言うべきか。この絵本も何度も読んでいるものの、当時は、ぴかくんばかり目が行っていたのか、人や街の様子も楽しく、細かく描かれていることに初めて気付きました。お気に入りだった文章は、ぴかくんが目を回すことが分かる早口言葉並みの言葉の羅列。文字を追うだけで、目が回ります。


おてがみ

おてがみ
さく なかがわ えりこ
え なかがわ そうや
1969年4月1日発行
1975年3月1日第二刷発行

3FD0F184-783E-477A-BBBF-B91704A823AC.jpg

タイトルと表紙の絵の記憶はあったのだが、残念ながら内容は全く覚えていなかったのだ。何故、こんなにも印象が薄いのか、分析するまでもなく、理由はいくつか思いつく。
私がこの絵本を手にしたのは既に小学校に上がってから。つまり、同じことの繰り返しで展開する物語に面白さを感じなくなっていたのだろう。加えて、主人公がネコ。「長靴をはいたネコ」とか、「子ねこのピッチ」は何度も読んでいたはずなので、ネコだから、と言う理由は、今の私の好みを反映したものに過ぎぬのだが。そして、イラスト。おおざっぱな描かれ方は、確かにプロのなせる技だと言うのは今なら分かるのだが、妙に明るい色合いも含め楽しめる要素が残念ながらなかったのだと思われるのだ。
もしも、絵本ソムリエと言う職業であれば、幼稚園に上がる前のお子さまにお勧めの絵本です、となるのではないかと思う。
ただ、この作品、続きを読者にお任せにしているのだが、終わり方が怖すぎます。



はるかぜ とぷう


はるかぜ とぷう
さく/え 小野かおる 
1969年3月1日発行
1976年3月1日第3刷

E6CA16C8-C68B-48EB-8D44-DF96303167F4.jpg




私的にこのタイトルは「はるかぜ と ぷう」という言葉の区切りになりまして、「はるかぜ とぷう」は少々違和感があるのです。思い込みと慣れってすごいことですね。

やんちゃなとぷうが引き起こす春の嵐。構図としては、ロミオとジュリエット、ウェストサイドストーリーなわけですが〔そういえば、日本には、こういう集団対抗が背景にある物語って存在するのでしょうか?〕、そのいざこざも、もっと大いなる力、ここでは「雷」で吹っ飛ばされてしまうという流れ。

もしかすると、世の中のもめごとなんて、些細なことで始まるけれど、実は吹けば飛ぶようなことなんだよ、ということを伝えたかったのでしょうか。それとも、深読みしすぎなのでしょうか。

この絵本に出会ってから、つむじ風が吹くと、あ、とぷう(ぷう)たちが喧嘩しているなと空想するようになりました。とぷうたちの起こした春の嵐は、お母さんにバレるわけですが、もの凄く教育的示唆を感じずにはいられません。ちょっとしたいたずらをしてしまい、恐らく怒られるだろうと予測できるが故に、なんとか隠したいわけだけれど、周りの大人たちは知らんぷりしているようで、ちゃんとお見通しなんだよ、ということを伝えたいのかな、とはたまた深読み。つむじに、つむじ風の痕跡が残る、とは、私たちの頭上にあるつむじが風の子の名残なんでしょうね。

2016/12/26 更新



ねずみのおいしゃさま

ねずみのおいしゃさま
作 なかがわ まさふみ
絵 やまわき ゆりこ
1957年2月1日発行
1974年12月1日新版発行




B19DB5A0-B0C8-46F1-B687-BA3060585E1B.jpg

何度も繰り返し読んだ作品。
ぐりとぐらと瓜二つのねずみのおいしゃさまと、おくさんに惹かれたのか、様々に擬人化された生き物たちに惹かれたのかは定かではないけれど、とにかく好きなのだ。
面白いなと思ったのは、夜中に働いている人たちがこんなにいるよ、と描かれた事例。おそらく、職業、警官…を表したかったと思われるところには、唐草模様のほっかむりをした泥棒。この作品がやまわきゆりこさんの絵で出た初版が1974年。昭和49年。この時代までは、まだ、泥棒のいでたちは、こうだったのか、と不思議な感じ。

おいしゃさまが大雪から避難した先の冬眠中のカエルさんのお家の様子は、好きな場面。そして、家に戻ってから熱を出して寝込んでしまった時の寝心地の良さそうなふわふわなお布団がかかったベッドと、優しさに包まれるようなお部屋。今どきのライフスタイル雑誌に、『自然と暮らす、自然に暮らす』という見出しで紹介されそうなお部屋だな、と思うのです。
96400652-19C8-45D5-842C-38E649046B7E.jpg


2016.12.20.更新

とこちゃんはどこ

とこちゃんはどこ
松岡享子 さく
加古里子 え
1970年4月1日発行

0F5D17EB-AC18-4363-B02D-03AF3C00C64E.jpg

幼稚園で初めて受け取った絵本。後年「ウォーリーをさがせ」を知った時、とこちゃんと同じだな、と思ったけれど、とこちゃんは、こども向け、且つ、物語がありますね。しかも、周りのおとなの振り回されっぷりが半端なくすごい感じ。こどもの頃には、ひたすら「とこちゃん」探しをしていましたが、大きくなるにつれ、「とこちゃん」の両親や他の大人たちの表情が気になるようになり、見開きいっぱいに広がるたくさんの人たちがこと細かく描かれているので、そんな人たち様子も楽しむようになりました。

海水浴場の場面では、こんなに混雑した海水浴場なんて…と思う一方で、海岸でこんなことまでやる人いるのかな、という光景を不思議に思ったり。お祭りの出店を見て、羨ましいなと思ったり。一番好きなのは、デパートの中。紫色のデパートは、いつ見ても、近未来なデパートを感じるます。そして、いずれの場面でも、とこちゃん親子以外の物語も紡ぎだせそうです。


2016/12/18 更新