しんりんてつどう

しんりんてつどう 
みねむらかつこ さく・え 
256号 1977.7.1.

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山と街とをつなぐ森林鉄道は、一日にいったい何往復するのだろう。人を運び、物を運ぶ。急こう配の山道も難なく行ったり来たりする鉄道。鉛筆描きの柔らかい筆致。濃淡ですべてを表現するという術は、物を観察することが苦手だった子どもの頃にはなかなか気が付かなかったことだ。漫画ほどの大げさな吹出や強調表現を使わなくても、鉛筆が描く流れで機関車が速度を上げていることまでわかってしまうのだ。物語は、文字でも表現されているので、話の流れは読んでいるのだが、テキスト無しだと文字で表現されていることよりももっとたくさんの物語を楽しむことができるのだ。
この森林鉄道、山で切り出した材木を街へ運ぶという任務もあるのだが、我々を悩ましている杉山を思うと、この頃に、次世代につながる山の保全の大切さに気づき、その方向へかじを切っていれば、日本の森林産業は違ったものになっていたはず、と社会派的なことも考えてしまった再読である。

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