2020年04月16日

よるのびょういん

よるのびょういん
谷川俊太郎 作
長野重一 写真
こどものとも 282号
1979年9月発行



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この写真絵本を読むまで想像することもなかった夜の病院。日常生活では垣間見ることすらできない手術室、医療器具、建物内での活動を維持するためのボイラー室など。普通の生活で目に見えているもの、気づくものは世の中の活動の中のごく一部で、縁の下の力持ちという仕事が数限りなくあることを自覚できるようになったのも、この絵本のお陰。
 1979年発行。写真がとらえている黒電話や炊飯器など、当時の生活道具が懐かしく感じられるほど今とは違うところが多いですが、家族に緊急事態が発生したときのやり取りの内容は、さほど変わらないかな。絵本では、夜中の静かな病院の待合室の公衆電話からお母さんが仕事現場にいるお父さんに連絡を取っています。お父さんの仕事現場は、輪転機が回っていて音がうるさくて聞き取れない、という事態に。今はまず発生しない状態ですね。今であれば、写真付きSNSで文字だけで連絡かも。いや、こういう時は、やはり声ですよね。
posted by 花ちゃんとクマの菜葉 at 13:41| Comment(0) | 200号台 | 更新情報をチェックする

2020年03月30日

くった のんだ わらった

くった のんだ わらった
ポーランド民話
内田莉莎子 再話
佐々木マキ 画
244号
1976.7.1.


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野原の真ん中に巣を作ったひばりのつがい。そこへ、もぐらが土の中から迫ってきて、これはたいへんと狼さんに助けて欲しいとお願いするものの、「おう、そうかい。おやすい御用」とならないところが物語。合わせて三つの狼からの要求に全部応えてやっと願い事がかないます。
絵は、佐々木マキさん。どこかに「やっぱりオオカミ」の「オオカミ」の姿に似たところがないかなと見入りました。土を掘るもぐらの姿は、絵本「もぐらとずぼん」のもぐらへとすぐに連想が飛びました。
子ども向け絵本の展開の王道、最低3回の繰り返しはこの作品でも。3回も行きつ戻りつを繰り返し、その間に「もぐらにやられちゃうよ」と気になって仕方がありません。初めて読んだ時には、こんなことにはまったく気にならなかったのに、
加えて、ページをめくるごとに楽しめる風景、建物の形、衣装や小物、色合いからポーランドの疑似体験ができるのも魅力の一つではないかと思います。

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2020年02月17日

ぼくがとぶ


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ぼくがとぶ
ささき まき さく・え
231号
1975年6月1日


主人公の「ぼく」が誰かに似ているな、とずっと思っていた。そして、今回ようやくあるイメージと結びついた。そう、星の王子さまだ。もう一つ、ふと不思議だな、と思ったこと。物語の舞台が、日本ではないのはなぜだろう。描かれている景色を見る限り、舞台はきっと欧羅巴。日本の風景にはない建物、そして、色。こういうお話しは、日本を舞台に生み出すのは難しいのでしょうか。いや、もしかして、欧羅巴って感じたのは、あなたでしょう?と言われてしまうのかも。

さて、ここ作品、文字を追うだけであれば、1分もあれば読めてしまう。物語はループ無し、先にぐいぐい進む冒険もの。ただ、これが絵に見入ってしまうと、何時間あっても終わらない。特に飛行機を作り始めから、無事に飛び立つまでは。仕事の進捗具合と、飛び立って高度を上げるまでの様子を表現する手法は、漫画家ならでは。こんなことに気付けるなんて、おとなになってよかった、と感じる瞬間。
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2020年02月02日

ぽとんぽとんはなんのおと

ぽとんぽとんはなんのおと
神沢利子 さく
平山英三 え
287号 1980年2月1日発行



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春が近づいてくるさまを音で感じる楽しさを教えてくれる作品です。

クマが人家のそばまに出没して困ると言うニュースがしばしば報じられるようになって、困った、異常だと言いますが、クマたちだって、「ほっほー」と鳴くふくろうの声や、雪が降りしきって、しんとなる森、そして「つっぴい」とさえずる小鳥の声が聞こえてくる豊かな自然の中で生きていられれば、きっと「どどー」っと雪崩が起きて、「ぽとんぽとん」とつららが雫を落とす頃までぐっすり巣穴の中で眠れているはずなのです。

巣穴の中の母親クマと2頭の子ぐまとのやり取りで春が訪れるまでの時の流れを教えてくれますが、それを伝えてくれるのが絵なのです。ぎゅぎゅっと3頭がくっついて狭い巣穴の中で過ごしている姿。春が近づいてくると寝ぼけまなこだったのが、だんだんとシャキッとしてくる様子が伝わってきます。
ところで、こういうときの親子関係って、なぜ母親と「ぼうや」なのでしょう。

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2020年01月28日

だるまちゃんとうさぎちゃん

だるまちゃんとうさぎちゃん 
加古里子 さく・え 
201号

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雪が降ったときの楽しさをまだ知らない頃に、この絵本に出会いました。その当時は、絵本の中で起こる全ての出来事がとにかく羨ましくて仕方がありませんでした。この「いいなあ」とうらやましく思う気持ちは、今読んでも起こる感情です。
  
だるまちゃんとだるまこちゃんと一緒に遊ぶことができたら楽しいだろうな、と思ったり、雪が降るとこんな遊びができるんだ、とわくわくしたり。なんと言っても、およばれする、ということがうらやましかったのです。

幼稚園へ持って行くお弁当に入っていたりんごがうさぎになっていたのは、この絵本のおかげなのかもしれません。さすがに、だるまちゃん仕様になっていたことはなかったですが。

今回読んで、初めておや?と思ったことがあります。だるまちゃん兄妹が大人だな、ということ。ひたすら、うさぎちゃんたちをおもてなししています。子どもでこんなことができるなんて、きちんとしつけられている、としか思えません。

posted by 花ちゃんとクマの菜葉 at 20:22| Comment(0) | 200号台 | 更新情報をチェックする