たなばたまつり

たなばたまつり
熊谷元一 さく・え
1970年7月1日 172号

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七夕祭りってこんな風に準備するものなんだ、と憧れを持って読んだ絵本です。この絵本に初めて出会ったのは、幼稚園生の頃。当時住んでいた地域には、まだたくさん畑もあり、畑のいく畝かには、里芋の大きな葉っぱを見ることが出来ました。小学校に上がってからも、七夕の季節が近づくと、里芋の葉に溜まった露を使った墨で文字を書いてみたいと思ったものです。当時、大人に相談して、ちゃんと希望を叶えさせてもらえばよかったと今更思ったりしています。

絵本の中で描かれている風景は、小学生の頃、夏休みになると体験させてもらっていた、子ども村キャンプなどで滞在したような場所を彷彿させるものなのです。家に縁側や庭があり、近くに竹やぶもあり、川が流れている、という日本の原風景は、私にとっては特別な情景で、これから先もこういう風景の中で日常を過ごせることになることはないはずで、絵本を通じた日本体験がとても大切だと感じる一冊です。

るるの だんじょうび 

るるの たんじょうび
征矢 清 さく
中谷 千代子 え
1971年4月1日発行 第181号


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ピンクが背景のこの表紙と、主人公の女の子が、子ねこの「るる」のお誕生日プレゼントに歌を歌ってみんなに喜ばれたことが強く印象に残っていた絵本。「いちごばたけのちいさなおばあさん」と同じ中谷千代子さんが絵を手掛けた作品。
 お祝いの気持ちは、品物でなくても、気持ちを伝える方法ってあるんだ、ということを、無自覚に自覚できるようになったのは、おそらくこの作品を読んだから。他にも、動物たちと会話ができることや、こんな風に、彼らの集いに参加できていることをちょっとうらやましさも感じていたのではないかなと思います。
今回、久しぶりに絵本を手に取って、この本って、男の子も何も考えずに手に取る本なのかな、と気になりました。本来、絵本に男の子向けも女の子向けもないはずだけれど、主人公が女の子の絵本って、どうなのかなって。男の子が主人公の絵本の場合、少なくとも私は、何も考えずに自然に手に取って読んでいたけれど。

しょうぼうじどうしゃじぷた

しょうぼうじどうしゃじぷた 
渡辺茂男 さく
山本忠敬 え 
1963.10.1./1973.5.1.

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おそらく生まれて初めて興味を持ち、乗り物が登場する楽しい絵本と感じた絵本「しょうぼうじどうしゃじぷた」。現代の消防車や救急車とお顔の部分は違うのだが、この作品の絵を見るたびに、働く車の格好良さを感じるのだ。そして、この絵本から思い出すのが、小学校の写生大会。地域の消防署からはしご車とポンプ車が救急車と共にやって来て、全校生徒が写生をしたのだ。絵を描くことに苦手意識があったので、一番簡単だと思った救急車を選んだのだ。消防車は、細かく描き込まなければならない部分がたくさんあるから難しいと思ったのだが、救急車もそうとう難しい写生対象だった。何しろ、救急車は、画用紙の色と同じボディのメインが白である。白色のクレヨンで塗ることしか知らない子どもにとってはどうすればいいのやら、なのである。この絵本に出会ってから、いつかどこかで実物の「じぷた」に出会える日を楽しみにしているのだが、まだ、実現していない。

たからさがし

たからさがし 
なかがわりえこ さく
おおむらゆりこ え
1964.11.1./1973.8.1.



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一人遊びを良くしていました。そして、一人遊びのときは、家にいるお友だちたちがよく話しかけてくれました。この絵本のゆうじ君のように、動物のお友だちがいればもっと面白かったなと思いますが、ぬいぐるみのお友だちたちが一緒に遊んでくれました。
さて、この絵本。ゆうじ君は、うさぎのギックと宝物を巡っていろいろ競争するわけですが、かけっこと相撲で競い合うのは理解できるとして、幅跳びで競争というくだりは驚きました。ギックはうさぎなのですから、ホップステップジャンプとか言って、簡単に決着がつきそうではないですか。ところが、それでも勝負がつかなくて、知恵袋のギックのおばあちゃまのところへ行って決着をつける方法を考えてもらうわけですが、このおばあちゃまの住んでいるお家が可愛らしいのです。最後に出てくるおやつがビスケットに紅茶(たぶん)というのもよく考えると不思議ですよね。何故、かりんとうではいけないのかな、と。

おおきくなるの

おおきくなるの 
ほりうちせいいち さく・え 
1964.6.1.
1975.5.1.


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お誕生日のケーキのろうそくの数のくだりが好き。「わたしはみっつ。」おばあさんのおたんじょうびには「とてもたくさん」ってね。いつもなら、目の敵にしてしまうケムシも、こんな愛嬌のある笑顔で、しかもこんなカラフルなチョウになるのなら少しくらいお花の葉っぱを食べてもいいよっていう気持ちになるかもしれない、なんて殊勝なことを思ったりもします。ただし、実はチョウもあまり好きではないので、本当のところは、そんなこともなかなか思えないのだけれど。
成長して、洋服や靴が身に付けられなくなるということは誰しもが経験していることだけれど、そんな子供時代の経験が大人になっても抜けなくて、毎年洋服を変えたくなるのかしら、と勝手な想像もしています。子どもという時代は、誰もが絶対に通過している年代で、そこでの経験が大きくなるにつれ人生の過ごし方にどれだけ影響を及ぼすのか、と考えれば考えるほど不思議の種は大きくなります。

こぶじいさま

こぶじいさま
日本民話
松居 直 再話
赤羽 末吉 画
1964.1.1.
1974.1.1.


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夜になってお堂に避難したおじいさんが、山奥から現れた鬼たちを見てびくびく様子を伺っているときは、自分もびくびく。鬼たちと楽しむところは、うぉ、すごいなあと思ったものです。おじいさんの額のこぶが厄介ものだと思っていたということに初めて気づいたように思います。ま、確かにこぶがおでこにあったら厄介だとは思いますが、物語は「ひたいに大きなこぶのある、じいさまがいました。」と淡々と始まっているのですから。鬼にこぶを取られたおじいさん。鬼は、明日の晩も来させるつもりで大切なこぶを取ったわけですが、肝心のおじいさんは、約束を守るはずもなく、同じようにこぶに悩む、隣のおじいさんが翌日の晩にのこのこ出かけて行くことに。お話しとしては面白いけれど、いいのかそれで!?と思ったのは確か。難しかったのは「鬼踊り」のあのお歌。リズムがなかなかうまく刻めなくて、何度も読んでやっと納得のリズムで読めるようになりました。

かさもっておむかえ

かさもっておむかえ
征矢清 さく
長新太 え
1969.10.1.
1976.6.1.


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降水確率などという数値が発表されるようになる前は、天気予報が思わぬ方向に転がって夕方から雨ということはよくあったことではないだろうか。でも急な天気の変化を不便に思ったことはなく、雨が降ってきたら「傘を持ってお迎えに行く」のが当たり前だったはずだ。毎日、ほぼ決まった時間に帰ってくる父親たちを迎えに駅や最寄りのバス停まで行ったという経験がある人は多いと思う。私も何回か最寄りのバス停まで迎えに行った経験があり、待った場所の記憶もぼんやりと残っている。この傘を持ってのお迎えがけっこう楽しかったりするのだ。その他、この作品では、動物専用車両があるという件が子どもの頃は羨ましくて仕方なかった。そして、今回、読みながらはらはらしたのは、駅前で待っていたのに、なかなか帰ってこないお父さんのことが待ち切れず、ネコの案内で乗換駅まで移動し始めたところ。お父さんと行き違いになってしまう、と本当にどきどきしたのだ。

たろうのおでかけ

たろうのおでかけ
村山桂子 さく
堀内誠一 え
1963.4.1.
1974.4.1.

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「たろう」シリーズの1冊でお友だち(しかも、女の子)のお誕生会へお呼ばれした「たろう」君がプレゼントを持ってお友だち(というか、仲間)と一緒にとことこ歩いてお出かけするというお話し。持って行くモノの一つがアイスクリームで、お友だちのお家に到着するまではらはらどきどきしました。「あんまり時間がかかりすぎたので、溶けてしまいました」という一文が途中で出てくるのではないかと思って。
こんな難儀なプレゼントを持っているので、たろうは、気がせいて、あらゆる道をショートカットしたかったのだけれど、そのたびに、大人たちに「だめ だめ だめ」と声をかけられ、安全に行ける道に戻るわけです。確かに、横断歩道のないところや、信号が赤に変わる直前に渡るというのは危険だし、よろしくないことですが、みなに「だめ だめ だめ」って言われ続け、「だめ」という言葉が繰り返されるので、その点ちょっと最後のほうでくたびれてしまいました。

もりのむしとのはらのむし

もりのむしとのはらのむし
三芳 悌吉 さく・え
中根 猛彦 監修
1966.8.1.
1976.8.1.


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子どもの頃、子ども向けのカラー図鑑が書棚にあったのだが、昆虫や食虫植物のページが触れなくて、そのページが来ると2・3ページ飛ばしてめくっていた。そんな経験があることから恐らくこの絵本はまともに読んでいなかったのではないかと思われる。
今回も必要以上に拡大された絵が、突如開いたページに現れないかとどきどきしながら読み進め、最後まで無事にたどり着きほっとした。
図鑑ではないが、虫については、かなり緻密に描かれた絵であろうと思われ、生き物に興味がある子なら、文章よりも絵の方に注目して繰り返し読む絵本になっていたはずだ。もちろん、自分目線のお話も流れていて、越冬した虫たちのことも描かれている。
さて、私と言えば、今でも昆虫は苦手なのだが、生き物として興味を持つことができるようになったのは「ファーブル昆虫と暮らして」を読んでから。苦手意識が薄らぎ生き物たちの行動に興味を抱けるようにさせてくれた大切な本だ。

てつたくんのじどうしゃ

てつたくんのじどうしゃ
わたなべ しげお さく
ほりうち せいいち え
1969.10.1.
1874.9.1.



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こんな車があったらいいな。こんな風に車を自分で組み立てることができたらいいな。そんな風に思わせくれる、単純だけれど楽しいお話しで、こんな風に自分で組み立てたモノで移動できるなんて、ちょっとうらやましいとさえ思います。この本も絵本ならではの楽しみがあって、文章だけでは、その楽しさはおそらく半減。絵に使われている十二色色鉛筆に入っている色だけを使っていると思われる色の組み合わせと、部品たちの七変化する表情が楽しさを倍増してくれているように感じます。
堀内誠一さんのイラストだから、楽しいのは当然でしょう、という勝手で大人視点なものの見方ではなく、読み手の心を引き込む絵と色使いだから子供の頃も、大人になってからも魅かれるのだろうと感じます。そして、最後に「てつたくん」がいなくては困る事態も用意されていて、きちんとお話が完結しています。
ところで、最近のこういうキャップを被っている子いなくなりましたね。